私は東証に上場しているETF「純金上場信託(1540)」を保有しているのですが、米国の長期金利が高止まりしているにも関わらず、最近株価が大きく上昇しています。
そのことについて、AIを使って理由を探ってみました。
「金利が上がると、金価格には逆風が吹く」これは金投資を考えるうえで、長年語られてきた基本的なセオリーです。
金は株式や債券のように利息や配当を生みません。そのため、金利が上昇すると、利息を生む債券などの魅力が相対的に高まり、金から資金が流出しやすくなる――。
ところが最近、この常識だけでは説明しにくい現象が起きています。
金利が高いにもかかわらず、金価格が上昇する。
その背景には「金利そのもの」ではなく、金利が上昇している理由そのものが変化してきたことにあるのではないでしょうか。
今回は、その理由を3つに分けて考えてみます。

名目金利上昇=実質金利上昇ではなくなってきた


まず重要なのが、「名目金利」と「実質金利」の違いです。
実質金利は、おおまかに言えば「実質金利 = 名目金利 − 予想インフレ率」で考えることができます。
これまでの金市場では、金利上昇が実質金利の上昇を伴う場合、金にとって大きな逆風となりました。
金には利息がない一方、債券などには利息があります。
そのため、実質金利が上昇すればするほど「利息のつかない金を持つより、利回りのある資産を持った方がいい」という判断が働きやすくなります。
ところが、現在の金利上昇が必ずしも「インフレが完全に抑え込まれた結果」とは限りません。
インフレ圧力が根強く残っている状況では、名目金利が上昇しても、同時にインフレへの警戒感が強まる可能性があります。
金利が上がったから金が不利という単純な話ではありません。
市場が「金利は高いけれど、インフレによって通貨の購買力が低下するのではないか」と考えれば、インフレに対する防衛手段として金を保有する意味が生まれます。
金価格は金利そのものだけではなく、金利とインフレ率の関係にも左右されるということです。
中央銀行による「金買い」が金価格を下支えしている

金市場では、投資信託やETFなどを通じて売買する投資家だけでなく、中央銀行という巨大なプレーヤーが存在します。
近年、中央銀行による金購入は非常に重要な存在になっています。
特に新興国などでは、外貨準備を米ドル資産だけに依存することへの警戒感が強まっています。
その背景の一つとして考えられるのが、2022年以降のロシアを巡る金融制裁です。
ロシアの外貨準備が凍結されたことによって「外貨準備として保有している資産であっても、地政学的な事情によって利用できなくなる可能性がある」というリスクが世界的に意識されるようになりました。
このことは各国中央銀行にとって大きな意味を持ち、米ドルや米国債は、非常に流動性の高い重要な準備資産です。
しかし、それらはあくまでも他国の金融システムや政府が発行する資産です。
一方、金には発行国がありません。金は誰かの債務ではなく、特定の国の信用に直接依存しない資産です。
そのため「ドル資産だけに依存するのではなく、金を外貨準備の一部として保有しておこう」という考え方が強まっています。
これは通常の投資家が「金利が上がったから金を売ろう」と判断するのとはまったく異なる動機です。
中央銀行にとって金は、単純に利回りを比較して売買する資産ではありません。通貨分散、地政学リスクへの備え、外貨準備の分散という意味を持っています。
このような構造的な買い需要が存在することが、金価格の下値を支える一因になっています。
米国の財政赤字拡大が「金利上昇」の意味を変えている

そして3つ目が、米国の財政問題です。
通常、長期金利が上昇すると「景気が強いから金利が上がっている」「インフレを抑えるために金融引き締めが行われている」と考えることができます。
しかし、長期金利の上昇には、それだけではなく、政府による国債発行の増加や、財政に対する市場の懸念も影響します。
政府が巨額の財政赤字を抱え、国債の発行量が増え続ければ、市場では大量の国債を消化する必要があります。
その結果、より高い利回りを求める投資家が増えれば、国債利回りの上昇につながる可能性があります。
「金利が上がった」という結果だけを見るのではなく、「なぜ金利が上がったのか」を見ることです。
景気が非常に強いために金利が上昇しているのであれば、金利上昇は比較的健全な経済成長の結果とも考えられます。
しかし「政府の借金が増え続けている」「国債の発行量が増えている」「将来的なインフレや財政への懸念が強まっている」という理由で長期金利が上昇しているのであれば、話は変わってきます。
市場参加者が米国債を従来ほど「絶対的な安全資産」として扱わなくなれば、資金の一部が金などの別の安全資産へ向かう可能性があります。
もちろん、これは「米国債が安全ではなくなった」という単純な話ではなく、米国債は依然として世界最大級の安全資産市場です。
ですが「米国債だけを安全資産として保有しておけば十分なのか?」という問題意識が以前より強くなっていることが重要なのです。
金と金利の関係は「消えた」のではない
ここまでを見ると「金利と金価格の逆相関はもうなくなった」と思うかもしれません。
金利が上昇すれば、金にとって依然としてマイナス要因になり得ます。
特に、実質金利が大きく上昇すれば、金の保有コストが意識されやすくなるという基本的な関係は残っています。
変わったのは、金利だけを見れば金価格を説明できる時代ではなくなってきたということではないでしょうか。
現在の金市場では、
- 実質金利
- インフレ期待
- 中央銀行の金購入
- 地政学的リスク
- ドルの信認
- 米国の財政状況
- 世界的な外貨準備の分散
など、複数の要因が同時に作用しています。
「金利上昇=金下落」という単純な公式では説明できない

従来の金市場では、次のような構図がイメージされていました。
金利上昇
↓
債券の魅力上昇
↓
金の相対的な魅力低下
↓
金価格下落
しかし現在は、別の経路も存在します。
インフレ懸念・財政悪化・地政学リスク
↓
通貨や国債に対する不安
↓
金を保有する需要の増加
↓
金価格上昇
金利上昇そのものより、「なぜ金利が上昇しているのか」が重要になっているのです。
構造の変化を整理すると
| 項目 | 従来のイメージ | 現在の市場で意識される要因 |
|---|---|---|
| 金利上昇の背景 | 景気拡大・金融引き締め | インフレ、国債増発、財政への懸念など |
| 投資家の関心 | 利回りを得たい | インフレ・通貨・地政学リスクから資産を守りたい |
| 金の主な需要 | 投資家中心 | 投資家+中央銀行 |
| 金の役割 | 利息を生まない資産 | インフレ・通貨・地政学リスクへの分散手段 |
| 金利上昇時の金 | 基本的に逆風 | 実質金利や金利上昇の背景次第で上昇することも |
最後に

「金利が上がれば金は下がる」という考え方は、完全に間違っているわけではありません。
しかし、それだけでは現在の金価格の動きを説明することが難しくなっています。
特に重要なのは、
①名目金利と実質金利を区別すること
②中央銀行による金購入という構造的な需要
③米国の財政状況や地政学リスクによる「安全資産」の分散
の3つです。
金と金利の関係が「なくなった」のではなく「金利だけを見て金価格を判断する時代ではなくなった」ということではないでしょうか。
金価格を見るときには「金利は上がったのか?」だけではなく「なぜ金利は上がったのか?」さらに「市場参加者は、その金利上昇を安心材料と見ているのか、それともインフレや財政への警戒シグナルと見ているのか?」まで考える必要があるということです。
ここで紹介している投資の手法や銘柄などは私自身が実際に行っているものであり読者の皆様に推奨しているわけではありません。
投資については自己責任でお願いします。
紹介している数値なども細心の注意を払っていますが誤っている可能性がありますのでご自身でも確認することをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
どなたかの参考になれば嬉しいです。


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