資産運用を続けていると、ふとした瞬間に「いつになったら、自分の労働による入金額よりもお金の増えるスピードが速くなるのだろうか?」という疑問が湧いてこないでしょうか。
投資の初期段階では、自分の給料から捻出する「入金力」が資産形成の主体ですが、ある一定のラインを超えると、それ以降は「運用益」の方が大きくなります。
今回の記事では、年利6%という現実的な利回りを想定し、年間入金額(36万、60万、96万、120万)ごとに「年間の運用利益額が入金額を超えるタイミング」を計算しました。
投資のモチベーションを維持するための「目標値」として、参考にしてもらえると嬉しいです。
運用の「利益」が入金額を追い越す理論値
まず、シンプルな計算で考えてみます。年間の運用益が年間入金額を上回るためには、保有している資産がいくらあればよいのでしょうか。
利回りを 6%(0.06)、年間の入金額を A、必要な資産残高を X とすると、以下の式が成り立ちます。
X × 0.06 ≧ A
この式をXについて解くと
X ≧ A ÷ 0.06
となります。つまり、年間入金額の「約16.6倍」の資産を築いたとき、その資産が自ら出す利益が、自分の一年間の入金額を上回ることになります。
これを具体的な入金額に当てはめると、以下のようになります。
| 年間入金額(月額) | 必要な資産残高(分岐点) |
| 36万円(月3万) | 600万円 |
| 60万円(月5万) | 1,000万円 |
| 96万円(月8万) | 1,600万円 |
| 120万円(月10万) | 2,000万円 |
到達までにかかる期間と資産推移
では、それぞれの入金額において、その「分岐点」に到達するまでに何年かかるのでしょうか。毎月の積立、年率6%(複利)で計算してみます。
年間36万円(月3万円)のコツコツ投資
新NISAのつみたて投資枠などを少額から活用している方のケースです。
目標となる資産額は600万円。このペースで積立を続けると、約11年〜12年で資産が600万円に到達します。
このとき、翌年からは年間約36万円以上の運用益が見込めるようになり、「自分が1年かけて入金したのと同じだけ、お金が勝手に増えてくれる」という状態になります。
年間60万円(月5万円)の中堅投資
家計を見直し、しっかりとした資産形成を目指す方のスタンダードな金額です。
目標額は1,000万円の大台。こちらも同様に、積立開始から約11年〜12年で1,000万円に到達します。
1,000万円という数字は資産形成において非常に重要な心理的な節目であり、ここを超えると複利の効果が目に見えて加速していきます。
年間96万円(月8万円)の積極投資
共働き夫婦や単身で余裕のある方が、将来の早期リタイア(FIRE)も視野に入れつつ投資しているケースです。
目標額は1,600万円。この場合も、到達期間は約11年〜12年です。
年間96万円という入金力は決して小さくありませんが、1,600万円の資産がもたらす年利6%の果実は、それを凌駕し始めます。
年間120万円(月10万円)のフル活用投資
新NISAの枠を大きく使い、資産形成をしている方の多くが目指している金額です。
目標額は2,000万円。いわゆる「老後2000万円問題」をクリアするラインですが、このレベルでも到達期間はやはり約11年〜12年となります。
なぜ「入金額によらず12年前後」が分岐点となるのか?
上記のシミュレーション結果を見て、「入金額が違うのに、なぜ分岐点までの期間が同じなのか?」と不思議に思った方も多いでしょう。
利回りが一定(6%)である場合、目標金額(入金額の16.6倍)に対する入金額の割合は常に一定です。そのため、入金額が大きくなれば目標額も比例して大きくなるため、結果として「倍率」を達成するための期間は、入金力の大小に関係なく一定になります。
【ポイント】
年利が6%である場合、どのような入金額であっても「最初の12年」を粘り強く継続できるかどうかが、投資家としてのステージが変わるかどうかの分かれ道になります。最初の12年間は、自分の労働による「入金」が資産の大部分を構成しますが、それ以降は「運用益」が主体に切り替わります。
「運用益 > 入金額」になった後の世界
運用益が入金額を上回るようになると、資産形成のフェーズは劇的に変わります。
複利の「二次曲線」が本領を発揮する
これまでは、自分が1万円節約して投資に回すことが資産を増やす唯一の方法でした。しかし、このラインを超えると、市場が数パーセント上昇するだけで、自分の数日分、あるいは1ヶ月分の給料が資産残高に上乗せされるようになります。資産が雪だるま式に増える現象が本格化するのです。
精神的な余裕
「たとえ今年、一度も入金できなかったとしても、資産そのものが生み出す利益がこれまでの入金額と同等である」という事実は、投資家にとって大きな精神的な支えとなります。入金を止めても資産が減らない(それどころか増え続ける)という感覚は、経済的な自立への第一歩です。

成功させるためのポイント
この「12年の壁」を突破するためには、以下の2点が不可欠です。
- 絶対に「入金」を止めないこと
- 年利6%というのは、あくまで平均値ですから実際にはマイナスの年もあります。資産が目標に近づくほど変動額も大きくなりますが、ここで怯まずに淡々と積み立てを続けることが、12年後の逆転劇を確実にします。
- 低コストな運用を徹底する
- 年利6%を狙う中で、手数料が1%かかれば手残りは5%になります。この1%の差が、逆転までの期間を数年単位で遅らせてしまいます。信託報酬の低いインデックスファンドを選ぶことが鉄則です。
最後に
「年利6%であればどのような入金額であっても、約12年で運用益が入金額を追い越す」という希望の持てる事実が分かりました。
12年という月日はとても長く感じるかもしれませんが、一度この峠を越えれば、あとは「お金がお金を稼いでくれる」ボーナスステージが待っています。
ここで紹介している投資の手法や銘柄などは私自身が実際に行っているものであり読者の皆様に推奨しているわけではありません。投資については自己責任でお願いします。紹介している数値なども細心の注意を払っていますが誤っている可能性がありますのでご自身でも確認することをお勧めします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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