【全世界株・オルカン】2026年の米国株不調…「リスク許容度」と分散投資の本質。リターンを犠牲にしてでも守るべきもの

長期・分散・積立

ここ2~3年、米国株は非常に好調に推移してきましたが、2026年に入ってからは調子が良くありません。

これまで米国株を牽引してきたハイテク株の調子が良くないのです。「AIがこれまでのソフトウェアを不要としてしまうのではないか」と言われています。

そのためソフトウェア関連の株が大きく売られていて、米国株全体の足を引っぱっているのです。

YouTubeなどのSNSでは「米国株より全世界株が安全だ」みたいな感じの動画などを見かけますが、本当にそうなのでしょうか?

今回の記事では、ポートフォリオビジュアライザーというサイトで1987年から2026年までの以下の3つのポートフォリオの長期のバックテストを行いました。

  • 分散ポートフォリオ
  • 仮想全世界株
  • アメリカ株100%

この3つを比較しながら、「リターン」と「リスク」、そして投資家としての「リスク許容度」について考えてみたいと思います。

3つのポートフォリオ

まずは、3つのポートフォリオの前提条件を整理します。

分散ポートフォリオ

  • アメリカ株:36%
  • アメリカ除く全世界株:24%
  • アメリカ債券:30%
  • ゴールド:10%

このポートフォリオは私が目標としている資産配分に一番近いものです。

私が目標とする資産配分は全世界株60%、米国債券30%、ゴールド5%、不動産(Jリート)5%ですが、ポートフォリオビジュアライザーでJリートの選択肢がありませんので今回はこのような配分にしました。

仮想全世界株

  • アメリカ株:60%
  • アメリカ除く全世界株:40%

いわゆる全世界株(オルカン)の配分です。

アメリカ株

  • アメリカ株:100%

バックテストの結果

運用開始資産はいずれも10,000からのスタートです。

約40年という非常に長い期間での検証なので、短期的な運・不運ではなく、構造的な特徴がはっきりと表れています。

グラフ中の色分けは以下の通りです。

  • 灰色線:アメリカ株100%
  • 青色線:分散ポートフォリオ
  • 緑色線:仮想全世界株

ポートフォリオ別の各指標

分散ポートフォリオ仮想全世界株アメリカ株
運用開始資産10,00010,00010,000
最終残高215,196319,108580,758
年平均収益率8.17%9.26%10.95%
標準偏差(リスク)9.54%15.07%15.38%
年間最大上昇率24.15%34.95%35.79%
年間最大下落率-21.91%-39.86%-37.04%
最大ドローダウン-32.14%-54.03%-50.89%
シャープレシオ0.550.460.56

資産の推移

出典:ポートフォリオビジュアライザー

年別損益率

出典:ポートフォリオビジュアライザー

最大ドローダウン

出典:ポートフォリオビジュアライザー

私なりの考察

ここからは私なりに考察をしていきたいと思います。

私の投資方針は「長期・分散・積立」ですので、そのことを念頭に置いて見ていただければと思います。

最終残高と年平均リターン

最終残高を見ると、結果は非常に分かりやすいものになりました。

  • 分散ポートフォリオ:215,196
  • 仮想全世界株:319,108
  • アメリカ株:580,758

年平均収益率は以下の通りです。

  • 分散ポートフォリオ:8.17%
  • 仮想全世界株:9.26%
  • アメリカ株:10.95%

資産の最大化を目指すなら、アメリカ株が圧倒的です。

各ポートフォリオの年平均収益率は数%ですが、長期になるほど複利の影響を大きく受け、この差は無視できないレベルまで広がっていきます。

問題は「下落耐性」

投資はリターンだけを見ていればいいわけではありません。重要なのは、下落局面でどうなるかです。

年間最大下落率、最大ドローダウンを見ると次のようになります。

  • 分散ポートフォリオ
    • 年間最大下落率:-21.91%
    • 最大ドローダウン:-32.14%
  • 仮想全世界株
    • 年間最大下落率:-39.86%
    • 最大ドローダウン:-54.03%
  • アメリカ株
    • 年間最大下落率:-37.04%
    • 最大ドローダウン:-50.89%

注目すべきは、仮想全世界株の最大下落率が-54%と最も大きい点です。

「全世界株=安全」という誤解

全世界株は「分散されているから安心」というイメージを持たれがちです。しかしそれは、あくまで株式という枠の中で分散されているだけです。

アメリカ株が大きく下落する局面では、アメリカ以外の株式も同時に売られ、結果としてアメリカ株以上に下落するケースがあります

50%以上の下落に耐えられる人は多くない

仮想全世界株は-54%、アメリカ株でも-50%の最大ドローダウン。数字で見ると冷静ですが、実際に資産が半分になる局面に直面すると、精神的な負荷は想像以上です。

資産が大きくなればなるほど下落時のダメージも大きくなります。

100万円の半分は50万円ですが、1,000万円の半分は500万円です。同じ半分でも金額的には450万円のも差があります。

このような状況になると、多くの人が「不安になり、投資をやめ、最悪のタイミングで売却してしまう」と言われています。

長期的な目線で見ると、このような状況でも市場に居続けなければいけません。

分散の意味は「リターンを下げること」ではない

分散ポートフォリオは、確かにリターンでは劣ります。年平均8.17%という数字は、アメリカ株と比べると見劣りします。

しかし最大ドローダウンは-32%に抑えられています。これは、市場に居続けられる確率を大きく高めてくれるはずです。

資産を分散する目的は、「リターンを最大化することではなく、市場から退場しないこと」
ここに本質があります。

投資効率(シャープレシオ)から見る悩ましさ

シャープレシオを見ると

  • 分散ポートフォリオ:0.55
  • 仮想全世界株:0.46
  • アメリカ株:0.56

投資効率はアメリカ株が最も高い結果となりました。「リスクあたりのリターン」でもアメリカ株が優秀です。

これは悩ましい問題です。理論的にはアメリカ株が最適解に見えます。

まとめ

このバックテストから、私が感じたことは次の通りです。

  • 全世界株より、アメリカ株の方が投資効率は良い
  • 資産の最大化も、リスクあたりのリターンもアメリカ株が高い
  • 50%以上の下落に耐えられる人は多くない(自分は例外だと思ってはいけない)
  • 分散はリターンを犠牲にするが、リスクを大きく下げてくれる
  • 各資産に分散すると、米国株100%と比べ、リターンでは大きく劣り、投資効率でも劣ってしまう

重要なのは、「どのポートフォリオが優れているか」ではなく自分の「リスク許容度」を知ることではないでしょうか。

結局のところ、正解は一つではありません。年齢、資産額、そして性格によって決まります

資産形成初期で投資期間が何十年もあり、リスク許容度が高い人は米国100%でも良いでしょうし、逆に資産形成末期で投資期間が数年しかなく、リスク許容度が低い人であれば各資産に分散した方が良いでしょう。

データ上は米国株は最強ですが、その道は非常に険しいものがあります。そして全世界株は分散されているようでいて、暴落時は米国以上に下落します。

分散投資は「リターンを犠牲にして、市場に居続けられる力を買う行為」になります。

最近のアメリカ株の不調や、AIを巡る不透明なニュースを見て不安を感じているなら、それはあなたの「リスク許容度」を超えているサインかもしれません。

今のうちに、自分自身の「リスク許容度」に向き合ってみてはいかがでしょうか。

最後に

ここで紹介している投資の手法や銘柄などは私自身が実際に行っているものであり読者の皆様に推奨しているわけではありません。投資については自己責任でお願いします。紹介している数値なども細心の注意を払っていますが誤っている可能性がありますのでご自身でも確認することをお勧めします。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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